【旅87日目】神々の住む山へ!百名山・羅臼岳(知床富士)登山
7/17(水) 曇りのち雨
おはようございます。
朝5時に起床、外の天気を確認します。ややガスってますが雨は降っていない?よし、山登るぞ~!!北海道は良い山、個性的な山が沢山あります。ここ、羅臼岳も凄いパワーを持った山なんです。それでは元気にいってみよー୧(๑•̀ㅁ•́๑)૭✧
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朝はケンさんがホットサンドを作って食べさせてくれました。それといつものお茶漬け。お腹も満たされ出発!
羅臼岳はアイヌ語で"動物の臓腑や骨のあった場所"という意味で、古い地図では良牛岳と表記されています。もちろん日本百名山、また花の百名山、新・花の百名山にも選ばれています。約500年ほど前まで火山活動を行っていた、活火山でもあります。
羅臼岳に登るルートは、岩尾別温泉口からと羅臼温泉口からがあります。
登山客が多いのは歴史があり距離も短く、岩尾別温泉ルートでピストンする方法です。が、今回は登山口が野営場の横で、かつ横断道路の横にあるので自転車でアクセスしやすい羅臼温泉口から登り岩尾別温泉に下りるルートを選択しました。このルート、実は登山口の標高が130mと低いので1500m以上登らなくてはならず、距離も長い。その上、入山者が1日1-2ペアととても少なく登山道が整備されきっていない上級者ルートなんです。昨日自然センターでルートの情報を聞きましたが、情報が6月末のものと古く、ネットを見てもYAMAPで6月末が最新。残雪などがどうなっているかわからないので、行ける所まで行って無理なら引き返すくらいの気持ちで行きます。
羅臼岳山頂は世界遺産の核心地域(core zone)で、手付かずの自然を残す地帯。普段観光では見ることのできない光景を見に!ヒグマやルートのことなど不安・恐怖は当然ありますが、ワクワクも!楽しんでやるぞ!
キャンプ場から150mほど歩くと登山口があります。
入山届に記載します。チェックするとこの日羅臼岳に登る先行ペアはありません。完全に独りぼっち、何か起こっても助けは期待できなさそう。最悪の場合も想定して装備の最終確認をして踏み出します!
静けさの中、時折風で葉に着いた露が落ちてきます。その中をクマ鈴を鳴らし、音楽をかけてクマに存在を知らせながら進みます。
木かくしの滝
1人しか居ない登山道は不安でもありますが、大自然に1人きり。ワクワクもします。登山靴の跡に励まされながら進みますが、クモの巣がしょっちゅう顔に引っ掛かり、人の少なさを実感します。
暫くは林の中を歩きます。
登山道にもだいぶ草が被ってきています。それにしても、沢に出るまではピンクテープが2か所しかありませんでした。('Д')
ハイ松原に到着。
ここだけ何故か開けており、ハイマツが自生していました。
崩落した登山道。崩落個所は1か所だけでした。
登山道に熊の糞を見つけます。左右の笹が倒れており、熊が通って行ったよう。風に乗って時折獣の香りがし、確実にどこかからこちらを観察していることが伺えます。
ヒグマは基本的に憶病な生き物なので、積極的に人前に出てくることはありません。怖いのはお互い予期せず鉢合わせてしまった時。極力使うつもりはありませんが、札幌で佐藤さんに頂いたクマスプレーが相当な勇気をくれました。本当に持っていて良かった。(*´з`)
少し開けた所に出ます。相変わらず霧が深い。
ここからは登山川に沿って登っていきます。
雪渓が上にあるので、雪解け水の影響で沢の水量はそれなりにあるのかな?
岩にペイントがあるので、それを探しながら進みます。
渡渉を繰り返します。登山道もぬかるんでいたりして、靴がどんどん汚れ浸水してきました。( ;∀;)
水は硫黄を含有しているようで、川底が白くなっています。
泊場を過ぎて沢へ別れを告げ、再度林の中へ入って行きます。
時折獣道もあるので、そちらへ入り込まぬよう注意しながら、ピンクテープと地図を頼りに進みます。
開けて屏風岩へ到着。
このあたりから湿度と霧雨に一眼レフがやられ始めます。カメラ内部がくもってきてしまいました。( ;∀;)
右側にドーンっとでっかい岩壁がそそり立っています。そして周囲にはお花畑が広がっています。大きな沢でこの光景を独り占め。孤独を感じますが、どこかでやはりワクワクもまります。やっぱり登山は楽しい!(*‘∀‘)
雪渓は少し残っていました。
6月末の情報だと、屏風岩から雪渓の急登でアイゼンが必要だろうと言われましたが、雪渓はだいぶ小さくなっていて、もう夏道が使えました。
この辺りは沢なので岩がメイン、登山道が非常にわかりづらくなっていて道をロストしかけました。落ち着いて地図を睨み、少し高いところへ行き見渡すとようやく目印を見つけます。ホッとし、声を出して自分自身を鼓舞しながら進みます。
お花畑の分岐へ出て、そのまま予定通り岩清水への急登ルートを選択します。が、少し登ったところで大きな雪渓があり、しかもツルツルガチガチ。手持ちの6本爪軽アイゼンでは全く歯が立たなさそうで、危険なので断念します。 分岐点まで注意深く戻り、羅臼平へトラバースするルートへ行きます。
小さな雪渓はあるものの腐れ雪で、キックステップすらせず容易に渡ることが出来ました。
この辺りは綺麗なお花畑が広がっていて、保護のため登山道以外に入ってはいけません。
逆に登山道はとても分かりやすく、ある意味で助かります。
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チシマノキンバイソウ
その他にもお花は沢山!クルマユリ、エゾカワラナデシコ、エゾツガザクラ、オトギリソウ・・・ 楽しみながら歩けました。
そうこうしていると無事羅臼平に到着、岩尾別ルートと合流します。
羅臼平は背の低いマツなどが生え茂っているところで、風は比較的弱かったです。ここはテント場にもなっていて、宿泊することが出来ます。珍しいフードロッカーです。テントの中に食料を入れておくと臭いでヒグマが寄ってくるので、必ずここに収納します。
少し進むと下山してきた方々とすれ違います。たった3時間半ぶりですが、人に会うことがこれほど安心感を与えてくれるとは。自分の弱さを実感しますが、この時点で充実感を感じました。( ᷇࿀ ᷆ )
元々上がってくる予定だった岩清水を過ぎ、最後の岩登り。
雪渓もありますが、踏み跡がしっかり残っていたので登山靴のまま容易にクリアできました。7月の中旬にもかかわらずこれだけの雪渓が残っている羅臼岳・・・なんていう場所でしょう!
写真ではわかりづらいですが、全身を使って登るようななかなかの岩場でした。ストックを仕舞い、軍手を装着してクリアします。
そして、、、
登頂!あんの上ガスガスで眺望はほぼありませんでした。
風も強く、どんどん雲が通過していきます。恐らく風速10m前後はあったと思います。
写真を撮りましょう!
景色は全く望めませんでしたが、羅臼温泉からの厳しいルートを1人で登り切ったのは言葉にできないほどの充実感がありました。そして何より道中の雰囲気、独特なものがあります。押しつぶされそうなプレッシャーを跳ねのけ、安全に登り切ったこと。精神的にも相当タフになった気がします。旅中に登ってきたどの山も特別ですが、特に忘れられない登山になったと思います。
下山は岩尾別温泉口へ行きます。違ったルートで下りられるのは楽しいです。
ウトロ側はなんと晴れ!この時期、羅臼側からウトロ側に風が流れ、羅臼側は雲が発生し雨が多くなるそうです。
大沢に沿って下りていきます。こっちはルートは明瞭で歩きやすい。そしてお花畑が本当に綺麗!いいルートです。クマの気配はそれほど感じませんでした。
降りていくとオホーツク海まで眺望が開けます!この景色です!
大沢を外れ、いつものような木々の中を潜っていきます。
時折木の隙間から素晴らしい景色が。
知床半島の先端、知床岬の方向。
こちらはオホーツク海。
羅臼側からはどんどん雲が流れてきて、山を覆っていきます。
登山道の周囲には獣道が多く存在しました。
そして下山。
神棚がありましたので、登山の無事を感謝し下山届に記載します。
木下小屋の御主人と少し話します。「良い山でしょ?」笑いながら自信あり気に言われます。本当に凄い山だった!全身で感じ、大満足です。
正直、色々な恐怖から登るか少し悩みました。でも出来る最大限の準備はしたし、時期・天候にも申し分がなかったので決行。やってよかったです!
小屋まで、昨日キャンプ場で知り合った方が迎えに来てくれました。京都の山岳会に所属していて、山や自転車が好きな方。知床五胡などの観光に行くからそのついでに拾うよと、ピストンではなく岩尾別への下山をオススメしてくださいました。本当に感謝です!
夜は熊の湯に浸かって、恒例の宴会!
今日こられたライダー、チャリダーも加わり大勢です。今日もケンさんが腕を振るって、平目の西京漬け、麻婆豆腐を作ってくれます。私は米を炊いたのですが、、、欲張って一気に沢山炊こうとして相当イマイチでした。申し訳ない。( ;∀;)
一通り宴会を楽しみ、適度な時間にお開き。テントの中でブログ更新作業を行います。が、疲れ果てて写真の現像が限界でした。無理せず早く寝ることにします。おやすみなさい( ´O` ) ~.。o。゚
明日は最東端に向けて知床を後にします。
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<登山データ> 羅臼岳
標高 1661
登り 4時間9分
下り 3時間17分
登山口 羅臼温泉口
高度上昇 1623
距離 16.91